今回はファンからも高い評価を受けたタイトル『ディシディアデュオデシムファイナルファンタジー(DDFF)』の世界観と物語について詳しく解説します。今回は【1章~3章】の解説です。
この作品には歴代ファイナルファンタジーシリーズの戦士たちが登場し,壮大な神々の戦いに巻き込まれていきます。物語の核心は「調和と混沌を司る二柱の神が引き起こす闘争」と「神々に召喚された戦士たちの運命」にあります。
FFシリーズの周年を記念したタイトルですが,非常に根強い人気を誇っています。本作をプレイしたことのない方でも十分に”観て楽しめる”作品です。ぜひあなたの推しキャラクターを見つけてみてください。
1. 「ディシディアファイナルファンタジー」とは?物語の舞台設定を解説

「ディシディアファイナルファンタジー(DFF)」シリーズはスクウェア・エニックスによって開発された3Dアクションゲームです。
本作は歴代ファイナルファンタジーシリーズのキャラクターを操作し,1 on 1のスピーディーかつド派手な戦闘が楽しめます。
シナリオ面においてもつくりこまれていて,各キャラクターたちの解釈や葛藤などが鮮明に描かれています。それぞれの個性が強調されているので非常に魅力的なシナリオ展開となっています。シナリオは歴代作品をプレイされた方ほどより楽しめます。
過去と未来が交錯する世界観
今回紹介する『DDFF』の物語は前作『DFF』の後を受ける形で展開します。共通点としては,調和を司る神「コスモス」と混沌を司る神「カオス」による永遠の闘争が取り上げられています。そして二作品の違いは時系列にあります。
- DDFF … 12回目の闘争
- DFF … 13回目の闘争
前作で既にエンディングは迎えています。今回紹介する『DDFF』はその前の物語になります。何故永遠の闘争が集結したのか?といった背景が語られるわけです。
ちなみに本作のサブタイトル「デュオデシム」(duodecim)はラテン語で「12」を意味し,12回目の闘争をテーマにしています。
異界の戦士たち

DFFシリーズではシリーズからの数多くのキャラクターが登場します。DFFでは22名,DDFFでは31名の戦士たちが登場します。
タイトル | コスモスサイド | カオスサイド |
---|---|---|
FF1 | ウォーリア・オブ・ライト cv. 関智一 | ガーランド cv. 内海賢二 |
FF2 | フリオニール cv. 緑川光 | 皇帝 cv. 堀内賢雄 |
FF3 | オニオンナイト cv. 福山潤 | 暗闇の雲 cv. 池田昌子 |
FF4 | セシル・ハーヴィ cv. 程嶋しづマ カイン・ハイウィンド cv. 山寺宏一 | ゴルベーザ cv. 鹿賀丈史 |
FF5 | バッツ・クラウザー cv. 保志総一朗 | エクスデス cv. 石田太郎 ギルガメッシュ cv. 中井和哉 |
FF6 | ティナ・ブランフォード cv. 福井裕佳梨 ケフカ・パラッツォ cv. 千葉繫 | |
FF7 | ティファ・ロックハート cv. 伊藤歩 エアリス・ゲインズブール(アシスト) cv. 坂本真綾 | クラウド・ストライフ cv. 櫻井孝宏 セフィロス cv. 森川智之 |
FF8 | スコール・レオンハート cv. 石川英郎 ラグナ・レウァール cv. 平田広明 | アルティミシア cv. 田中敦子 |
FF9 | ジタン・トライバル cv. 朴璐美 | クジャ cv. 石田彰 |
FF10 | ジェクト cv. 天田益男 ユウナ cv. 青木まゆこ | ティーダ cv. 森田成一 |
FF11 | シャントット cv. 林原めぐみ プリッシュ cv. 平野綾 | |
FF12 | ヴァン cv. 小野賢章 | ガブラス cv. 大塚明夫 |
FF13 | ライトニング cv. 坂本真綾 | |
DDFF | デスペラードカオス cv. 若本規夫 |
(DDFF参戦キャラは太字表記)
それぞれのキャラクターの思惑や行動が色濃く描かれています。本作では各キャラクターの背景や個性がさらに掘り下げられますので,あなたの”推しキャラクター”がきっと見つかるはず。
FF経験者にとっては随所に組み込まれたファンサが楽しめます。FF未経験者にとっては各キャラクターの雰囲気を網羅的に感じられるのでおすすめです。
2. ディシディアシリーズの世界観
はじめにDFFシリーズの世界観について解説します。DFFシリーズはこれまでに『DFF』,『DDFF』,『DFFNT』の3作品がリリースされています。
そしてこれらは同じ世界観となっています。共通点は「神々の闘争」と「浄化」です。

二柱の神が異界の戦士たちを呼び集め,世界の均衡を保つために闘争を繰り広げます。そして闘争に敗れた神と戦士たちは「浄化」を受け,再び蘇ります。そしてまた新たな闘争が始まる…といった具合です。
「浄化」とは戦士たちの記憶と経験を喰らい,召喚直後の状態に戻してしまう現象のことです。先ほどは便宜上蘇ると言いましたが,実際にはタイムリープしているような感じでしょうか。
3. ストーリー解説
1章『新たなる敵』

コスモスによって新たに呼び出された6人の戦士たち(ライトニング,カイン,ラグナ,ティファ,ユウナ,ヴァン)。戦士たちはコスモスから力を与えられた。この力は戦いを経ることで意思に馴染み,クリスタルに姿を変えるのだという。
クリスタルを得ることで戦士たちは神の力を得ることができる。その力を以て混沌の神カオスへと立ち向かう。戦いに勝利することで,元の世界に還れることを願って…。
しかし,コスモス軍は突如窮地に追い込まれる。カオスの戦士が次元の扉より戦士たちに酷似した無限の人形「イミテーション」を戦力として取り込んだためである。
イミテーションから逃れる戦士たちの行く手を阻むようにケフカとクジャが現れる。ライトニングは一人でクジャに立ち向かう。

戦いに敗れたクジャは消えてしまう。見殺しにするケフカに怪訝な表情を見せるライトニング。するとケフカはこう語った。
どうせあのぐらいじゃ死なないんだからさ 放っておいてもいいんだよ
言葉の意味が理解できないライトニングだったが,ケフカはさらにこう話す。
お前たちに言ったってどうせ忘れちゃうんだから
その後ライトニングはカインと合流。しかし,すぐそばにはバッツが横たわっていた。バッツのもとに駆け寄り,ライトニングが聞いたのは衝撃の事実だった。
カイン……何で おれを―

何も語ることなく敵対するカイン。そこへガーランドとエクスデスが現れる。するとカインはバッツを抱えてその場から立ち去ってしまった。
戦闘態勢に入るライトニングだが,ガーランドは応戦する素振りも見せずこう語った。
すぐにここもイミテーションの大群で埋まる わしがわざわざ貴様に手を下す必要もない―
復活も望めぬ完全なる消滅を貴様らにもたらす
2章『揺るぎない瞳』

ヴァンはカオスの戦士同士のもめごとに遭遇した。破壊の衝動に駆られていたティナ。しかしティナには戦いたくないという意思があった。それを聞いたケフカがティナを洗脳し,調教していた。
見かねたヴァンは割って入り,ケフカを退けてティナを連れ出したのだった。もう破壊の力を使いたくないとティナはヴァンに自分を倒してほしいと話す。これに対して,ヴァンはこう答える。
だったら戦わないで力も使わなきゃいい。別にオレがおまえを倒さなくたっていいだろ
2人はコスモスの戦士とカオスの戦士。この世界には戦うために呼ばれたはずだったが,ヴァンには意思があった。ティナの疑問にこう答える。
さっき オレ おまえが困ってたように見えた―
おまえが困ってたことにカオスもコスモスもないだろ?
戦うために呼ばれてるのは知ってる。でもオレ 自分の意思は捨ててないからな

ヴァンはコスモス軍の勝利を信じていた。カオスが倒れることで世界は安定し,自分たちはもとの世界へ帰れるというのだ。ヴァンは続けて,ティナにこう話す。
カオスを倒す前にオレがおまえを迎えに来る そしたら一緒にコスモスのところに行けばいい
おまえもコスモスの戦士になればオレたちと一緒に元の世界に帰れるだろ?
ヴァンにとってティナはカオスの戦士ではなく,戦う意思をもたない戦士だったのだろう。
3章『手掛かり』

仲間とはぐれ,道に迷うラグナ。彼が迷い込んだ先には暗闇の雲が待ち受けていた。襲い来る暗闇の雲にラグナは何とか退けたものの,どこか歯切れの悪い様子。
ラグナは暗闇の雲に見惚れていたり,慌てて弁解するも足を挫いてその場に座り込んだり…。間の抜けた様子のラグナに暗闇の雲は呆れていた。主であるコスモスを気の毒に思う暗闇の雲であったが,ラグナはこう返す。
お姉さん 別にオレは仕えてるんじゃないぜ
世界が崩壊しちまったらオレたちも困る―なら世界を守らなきゃってそういうこと
だが,コスモス軍がイミテーションに悩まされているのは事実。ラグナがそう話すと,暗闇の雲がこう答えた。
イミテーションはこの世界にはあってはならぬ
世界の均衡を崩す 異質な存在だ
ひとつ おしえてやろう―
イミテーションどもは次元の狭間よりこの世界へと這い出てきた呪いの人形だ
我らはその人形を使役しているにすぎぬ―
―奴らとこの世を繋ぐ 次元の扉
閉ざされれば 新たな人形は生み出せぬだろうな
図らずともラグナはイミテーションに関する情報を入手することができた。これがコスモス軍の現状を打破する糸口になるのだろうか…。ラグナは情報提供のために仲間のもとへと急ぐ。