今回はファンからも高い評価を受けたタイトル『ディシディアデュオデシムファイナルファンタジー(DDFF)』の世界観と物語について詳しく解説します。今回は【4章~6章】の解説です。
この作品には歴代ファイナルファンタジーシリーズの戦士たちが登場し,壮大な神々の戦いに巻き込まれていきます。物語の核心は「調和と混沌を司る二柱の神が引き起こす闘争」と「神々に召喚された戦士たちの運命」にあります。
FFシリーズの周年を記念したタイトルですが,非常に根強い人気を誇っています。本作をプレイしたことのない方でも十分に”観て楽しめる”作品です。ぜひあなたの推しキャラクターを見つけてみてください。
1. 「ディシディアファイナルファンタジー」とは?物語の舞台設定を解説

「ディシディアファイナルファンタジー(DFF)」シリーズはスクウェア・エニックスによって開発された3Dアクションゲームです。
本作は歴代ファイナルファンタジーシリーズのキャラクターを操作し,1 on 1のスピーディーかつド派手な戦闘が楽しめます。
シナリオ面においてもつくりこまれていて,各キャラクターたちの解釈や葛藤などが鮮明に描かれています。それぞれの個性が強調されているので非常に魅力的なシナリオ展開となっています。シナリオは歴代作品をプレイされた方ほどより楽しめます。
過去と未来が交錯する世界観
今回紹介する『DDFF』の物語は前作『DFF』の後を受ける形で展開します。共通点としては,調和を司る神「コスモス」と混沌を司る神「カオス」による永遠の闘争が取り上げられています。そして二作品の違いは時系列にあります。
- DDFF … 12回目の闘争
- DFF … 13回目の闘争
前作で既にエンディングは迎えています。今回紹介する『DDFF』はその前の物語になります。何故永遠の闘争が集結したのか?といった背景が語られるわけです。
ちなみに本作のサブタイトル「デュオデシム」(duodecim)はラテン語で「12」を意味し,12回目の闘争をテーマにしています。
異界の戦士たち

DFFシリーズではシリーズからの数多くのキャラクターが登場します。DFFでは22名,DDFFでは31名の戦士たちが登場します。
タイトル | コスモスサイド | カオスサイド |
---|---|---|
FF1 | ウォーリア・オブ・ライト cv. 関智一 | ガーランド cv. 内海賢二 |
FF2 | フリオニール cv. 緑川光 | 皇帝 cv. 堀内賢雄 |
FF3 | オニオンナイト cv. 福山潤 | 暗闇の雲 cv. 池田昌子 |
FF4 | セシル・ハーヴィ cv. 程嶋しづマ カイン・ハイウィンド cv. 山寺宏一 | ゴルベーザ cv. 鹿賀丈史 |
FF5 | バッツ・クラウザー cv. 保志総一朗 | エクスデス cv. 石田太郎 ギルガメッシュ cv. 中井和哉 |
FF6 | ティナ・ブランフォード cv. 福井裕佳梨 ケフカ・パラッツォ cv. 千葉繫 | |
FF7 | ティファ・ロックハート cv. 伊藤歩 エアリス・ゲインズブール(アシスト) cv. 坂本真綾 | クラウド・ストライフ cv. 櫻井孝宏 セフィロス cv. 森川智之 |
FF8 | スコール・レオンハート cv. 石川英郎 ラグナ・レウァール cv. 平田広明 | アルティミシア cv. 田中敦子 |
FF9 | ジタン・トライバル cv. 朴璐美 | クジャ cv. 石田彰 |
FF10 | ジェクト cv. 天田益男 ユウナ cv. 青木まゆこ | ティーダ cv. 森田成一 |
FF11 | シャントット cv. 林原めぐみ プリッシュ cv. 平野綾 | |
FF12 | ヴァン cv. 小野賢章 | ガブラス cv. 大塚明夫 |
FF13 | ライトニング cv. 坂本真綾 | |
DDFF | デスペラードカオス cv. 若本規夫 |
(DDFF参戦キャラは太字表記)
それぞれのキャラクターの思惑や行動が色濃く描かれています。本作では各キャラクターの背景や個性がさらに掘り下げられますので,あなたの”推しキャラクター”がきっと見つかるはず。
FF経験者にとっては随所に組み込まれたファンサが楽しめます。FF未経験者にとっては各キャラクターの雰囲気を網羅的に感じられるのでおすすめです。
2. ディシディアシリーズの世界観
はじめにDFFシリーズの世界観について解説します。DFFシリーズはこれまでに『DFF』,『DDFF』,『DFFNT』の3作品がリリースされています。
そしてこれらは同じ世界観となっています。共通点は「神々の闘争」と「浄化」です。

二柱の神が異界の戦士たちを呼び集め,世界の均衡を保つために闘争を繰り広げます。そして闘争に敗れた神と戦士たちは「浄化」を受け,再び蘇ります。そしてまた新たな闘争が始まる…といった具合です。
「浄化」とは戦士たちの記憶と経験を喰らい,召喚直後の状態に戻してしまう現象のことです。先ほどは便宜上蘇ると言いましたが,実際にはタイムリープしているような感じでしょうか。
3. ストーリー解説
4章『想いの行方』

ジェクトとはぐれてしまったユウナは一人佇んでいた。ユウナはふと指笛を鳴らした。指笛の音がこだまする。
指笛 聞こえたりしてね
この世界だったら 会えたりするかも―
―そんなこと あるわけないか
そうつぶやいて歩き始めたとき,突然ティーダが目の前に現れたのだった。驚きを隠せないユウナであったが,ティーダは彼女を知らない様子だった。その場から走り去るティーダを追いかけ,ユウナも走る。

追いかけた先では,ティーダがジェクトと対峙していた。衝突しようとする親子の間にユウナが割って入る。きっと話せば分かってくれる…,その想いがユウナを動かした。
ねぇ わたしたち一緒に旅してたよね 私も全部の記憶はないけど,でも―
キミのこと覚えてるよ ちゃんと覚えてる―
―キミはわたしを守ってくれて いろんな話をしてくれて
ティーダ わたし キミに会いたかったんだ
思い出したら きっと戦わなくて済むよ 思い出すまでわたしがキミを守るから
躊躇うティーダだったが,そこに突如皇帝が現れ攻撃を仕掛けてきた。ユウナを庇ってティーダは倒れこんでしまう。消えようとするティーダを見かねて,ジェクトは己の力を託してその場に倒れこんでしまう。
空の器と化したジェクトを手土産に皇帝はその場から立ち去ってしまう。眠ったままのティーダ,連れ去られたジェクト,突然の出来事に混乱するユウナ。

そこへヴァンとラグナが合流した。困惑するユウナにラグナは冷静に答える。
彼をどうするにしたってオレたちは他のカオスの奴らとは戦わなきゃならない
だとすりゃユウナやオレたちに今できることって― ここでどんより暗くなってることじゃないよな?
落ち着きを取り戻したユウナは前を向いて歩み始める。
一方,ジェクトを連れ去った皇帝は混沌の神カオスのもとを訪れていた。

カオスの力を与えてジェクトをカオスの駒として利用するというのだ。皇帝の意図を疑るガーランドであったが,皇帝はカオスの勝利のためだというのだった。
ある時,皇帝は妙な動きをするコスモスの戦士について勘ぐっていた。

なるほど 自ら敗北を招こうというわけか
そうして神の力を新たなる戦いへと繋げると―
―が,しかし おかしなものだな
敗北を重ねてきたコスモスの戦士に戦いの記憶を持つ者はいない
何も知らぬはずの奴らがどこから新たなる戦いへの選択を導き出したのか
勝利を重ね 記憶を保ち続ける我らカオスの者か
果たして 誰の入れ知恵だろうな?
皇帝はコスモスの戦士たちを消滅させるべく,コスモスを直接狙う算段を組んでいた。あくまでもカオス軍の勝利を望んで…。
5章『選択』

ケフカの不穏な言葉,裏切るカイン,無限の軍勢イミテーション。さまざまな疑問を抱えたまま,ライトニングはひとり聖域へと向かっていった。そこにはコスモスとウォーリアがいた。コスモス軍の劣勢に焦りを見せるライトニング。
その時,コスモスは弱っていたジェクトの気が消えたことを感じ取った。仲間の裏切りを疑うライトニング,いよいよ敗北が脳裏をよぎる。すると突如ウォーリアが剣を向け,こう話す。
おまえの言う通りだ 我々は負ける
応戦するライトニングだったが,コスモスが2人を制止する。ウォーリアに何か知っているのかと尋ねると,彼はこう答えた。
私とカインはこの戦いを捨てている
イミテーションとの戦いを経るなかで,ウォーリアは勝利を疑うようになっていた。そんな中カインと出会い,この闘争についてこう話した。

結果はどうあれ 力尽きるまで戦うことはできる
すると,カインはある可能性について話し始めた。
おまえの言う通り 俺たちは力尽きるまで戦い そして負けるだろう
だがもしそれよりも前に敗北を受け入れることで勝利の可能性が生まれるとしたら―
おまえはそれに賭けることができるか?
この戦いは幾度となく繰り返されている
そして俺たちは倒れては蘇り 戦い続けている
信じがたい話には違いない
だがもしそれが本当なのだとすれば 俺達には次の戦いがある
真に力尽きさえしなければ蘇り 戦いに復活する可能性が生まれる
カインは次の闘争へと紡ぐために,自らの手で仲間を倒して眠らせているのだった。だがライトニングは信じられるはずもなかった。
勝てる見込みがないから自ら負けるというのか!
どうやってそんな夢物語を信じろというつもりだ!
もしおまえたちの言うことが本当だとしても 永遠に続く戦いに蘇って何の意味がある
戦いが永遠に終わらない?だったら私たちはいったい何のために戦って―
その答えは「戦いを終わらせる」ためだ。コスモスが戦士たちに与えた力”クリスタル”は戦いの輪廻を断ち切るための力でもある。だがクリスタルを手に入れることができないこともまた事実。そこにラグナ,ヴァン,ユウナが合流する。
もはや自分たちには道を選ぶ時間さえもない…。だからこそ敗北を受け入れ,次の戦いへとつなぐ。ウォーリアはそう話すが,ライトニングは反対した。
このまま次の戦いが始まったって敵との数の差は変わらない
次の戦いでクリスタルをすぐに手に入れられる確証もない
それなら少しでも敵の数を減らしておく その上での敗北も望みには繋がるはずだ
ただやられるわけにはいかない。それにラグナが持ち帰ったイミテーションの発生源の情報もある。ライトニングだけでなく,ラグナ,ヴァン,ユウナも戦い続けることを決意した。
6章『形なき真実』

イミテーションに翻弄されるカイン。状況は悪化する一方である。焦燥に駆られるカインの前にゴルベーザが現れる。カインはゴルベーザに問いかける。
カオスが勝利すれば世界は崩壊する
それをおまえたちは望んでいるのか?
そこでゴルベーザから語られたのは,この世界の核心でもある情報だった。
いずれ消えゆくおまえたちに真実を伝える意味はあるのか―
永遠に続く神々の闘争 この戦いは幾度となく繰り返されている
言いかえれば世界は決して崩壊などしない― 戦いは終わらぬのだからな
カインは衝撃の真実に信じられるはずもなかった。さらにゴルベーザはその理由を話す。
おまえは戦いに敗れ再び蘇った戦士
蘇るために浄化を受け記憶を失っている
この戦いが繰り返されていることを忘れてしまっているにすぎないのだ
だがおまえの本来の記憶は戦いの輪廻を証明している―
この世界に召喚されたばかりの者に元の世界の記憶はほとんどない
だがおまえには私やセシルの『元の世界の記憶』がある
戦いを経るほど元の世界の記憶は戻ってくる
すでにおまえに戻っている記憶 それはつまり―
そこへセシルがカインを助けるべくゴルベーザに剣を向ける。そしてゴルベーザはその場から立ち去った。カインの身を案じるセシルに対して,カインはこう問いかけた。

セシル おまえ 記憶はまだ戻ってはいないのか
ああ でもカインのことは思い出してきてるよ 戦っているうちに少しずつね
カインもそうだろう?戦えば戦うほど感覚が戻ってくる
大丈夫 カインも僕も戦い続けていればきっと記憶は戻ってくる
それは曖昧ながらも,最も確かな真実。永遠に続く戦いを示す唯一の証拠でもあった。疑念が確信へと変わったカインはコスモスの戦士たちを眠らせるために奔走していた。

フリオニールを匿うなか,エクスデスが追い詰める。カインは応戦するも,イミテーションの大群に囲まれてしまう。それでもカインは次の闘争へ望みを託すためにフリオニールを庇って戦い続けた。