FINAL FANTASY XIIは2006年にオリジナル版が発売され,独創的な世界観やバトルが特徴のタイトルです。時代の変化と共に各種プラットフォームに移植され,2017年以降に発売された『FINAL FANTASY XII The Zodiac Age』では美麗なグラフィックへと進化しています。
本作の登場キャラはストーリーと同様独創的な描かれ方をされ,人によってさまざまな解釈ができます。そのためレビューも賛否両論となっています。そしてナンバリングタイトルはこの辺りから”低迷してしまっている”といわれています。決して駄作というわけではなく,幅広いユーザー層には受け入れられなかったということです。未プレイの方はこの記事を読んで,自分に合うかどうか参考にしていただければと思います。
概要
FINAL FANTASY XIIは2006年にPlayStation2にてオリジナル版が発売されました。その後2007年にはNintendo DSにて派生作品『ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウィング』が発売。2017年以降にはFFXIIインターナショナル版をベースにHDリマスターした『ファイナルファンタジーXII ザ・ゾディアック・エイジ』がPS4,Nintendo Switch,Xbox,Windows版でそれぞれリリースされました。
『FF XI』と同様3Dフィールド上にキャラクターと敵が表示され,シームレスに戦闘に移行します。戦闘ではフィールド上の天候に左右されるなど戦略が求められます。またあらかじめキャラクターの行動をプログラムしておく「ガンビット」が採用されるなど,RPGらしい”やりこみ要素”が強い印象のタイトルだと思います。
主要人物
- ヴァン cv. 武田航平
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旧ダルマスカ王国のダウンタウンで暮らす活発な少年で,空賊になることを夢見ている。病や戦争で家族を失い,故郷を占領している帝国や自分に対してもどかしさを抱いている。それを誤魔化すために帝国へ盗みを働いていたが,これがきっかけに物語が始まる。
パンネロとは幼馴染で兄弟のように仲がいい。
- パンネロ cv. 三国由奈
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ダルマスカ王国出身で,ヴァンと同じく戦乱で家族を失っている。危なっかしい行動をとるヴァンを常に案じている。しっかり者で踊りが得意。ダルマスカ騎士団から武術を教わり,ある程度戦闘もこなせる。
- アーシェ cv. 園崎未恵
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ダルマスカ王の一人娘で唯一の王位継承者。アルケイディアとの戦争で兄や夫を失い,降伏条約調印の場で父も殺されてしまう。その後自害したとされ存在を抹消されてしまう。
祖国解放とアルケイディアへの復讐を誓い,「アマリア」と名乗って解放軍を率いている。
- バルフレア cv. 平田広明
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飛空艇シュトラールで世界を駆ける空賊で,「物語の主人公」を自称している。気まぐれな自由人で,普段はやる気のないそぶりをとる。過去にとある因縁と確執があり,そのことになると真剣な表情を見せる。
- フラン cv. 深見梨加
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森の民ヴィエラ族でありながら空賊となり,バルフレアの相棒。物静かで神秘的な雰囲気をまとい,足音を聞き分ける能力を持つ。過去を捨てて自由を守ろうとする強い意志を持つが,同族からは嫌われている。
- バッシュ cv. 小山力也
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かつて勇名をはせたダルマスカ王国の将軍で,正義感や誠実さから国民に慕われていた。2年前の敗戦を認めず,国王を暗殺した反逆者として処刑されたことになっている。実際には牢獄の奥深くに幽閉されている。
- ラーサ―・ファルナス・ソリドール cv. 今井由香
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グラミス皇帝の息子で王位第二継承者でありヴェインの弟。幼少より帝王学を学んだためか若くして人を率いるにふさわしい器量を持っている。その素養ゆえに帝国の権力闘争に巻き込まれ,ヴァンやアーシェからも疎まれつつも友好的に振舞う。
- ヴェイン・カルダス・ソリドール cv. 飛田展男
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グラミス皇帝の息子で王位第一継承者であり,ラーサ―の兄。人心掌握術に長けており,その軍事的才能から「戦争の天才」と称される。ダルマスカ王国を攻め滅ぼした張本人だが,巧みな演説でダルマスカの民を懐柔するなど手腕を発揮する。王位継承が目的ではなく,大きな理想を追い求めている。
- ジャッジ・ガブラス cv. 大塚明夫
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アルケイディア帝国の法を司る騎士”ジャッジ”を率いる武人。ジャッジの中でも絶大な権限を持つジャッジマスターで,皇帝の代理人となって帝国軍を指揮している。2年前の戦争で謀略の主役を務め,ダルマスカ王国の崩壊と敗戦へ導いた。
ストーリー
舞台となる世界「イヴァリース」には”ダルマスカ王国”,その統治元の”アルケイディア帝国”,アルケイディアの敵対国”ロザリア国”があり,物語はダルマスカとアルケイディアの戦争から始まる。ダルマスカ王国所属のアーシェは戦争の中で数多の悲劇を目の当たりにし,王国は滅ぼされ,夫をも殺されてしまう。帝国に対する復讐心から解放軍を率いるなど祖国の復興に尽力していた。そして復讐の鍵として「破魔石」を探すことになる。
一方で,帝国に家族を奪われ,占領された町でたくましく生きるヴァンは空賊となって大空を駆ける自由を夢見ていた。ある時に働いた盗みをきっかけにバルフレアやアーシェたちと出会い,戦乱へと巻き込まれていく。
戦闘システム
新たな戦闘スタイル ”アクティブディメンションバトル”
本作の戦闘システムは”アクティブディメンションバトル(ADB)”といわれ,従来のATBシステムの派生スタイルになり,コマンド入力後にゲージが溜まり,溜まったのちに行動という仕組みになっています。フィールドと戦闘が一体化したシームレスタイプのバトルシステムとなっています。「たたかう」「魔法」「アイテム」といった行動のすべてに射程の概念があり,使用武器によっては遠距離からでも攻撃できます。モンスターには「アクティブ」と「非アクティブ」の状態があり,モンスターごとに感知方法は異なります。(視覚,聴覚)ヘイトを受けているキャラクターはリンクされ,その他のパーティーメンバー自動的に加勢してくれます。イメージ的には『FFXI』のようなMMOスタイルで,天候含め戦況がリアルタイムに変化するのが特徴です。
キャラごとに行動をプログラム ”ガンビットシステム”
この戦闘システムに合わせて実装されているのが”ガンビットシステム”です。このシステムが本作の醍醐味でもあり,賛否を呼んだ要素でもあります。各キャラクターの行動をプログラムして自動的に行動されられ,コマンド入力する手間を省くことができます。例えば「HP<50%の味方」に対して「ケアル」というように”対象”と”行動”を選択できます。それまでのシリーズでは味わえないパズルのようなシステムで,この組み合わせを考えること自体が魅力といえます。
全般的な成長システム ”ライセンスボード”
バトルシステムやガンビットに大きくかかわる要素として”ライセンスボード”があります。これは『FFX』のスフィア盤に似たシステムで,開放項目に応じて装備品や魔法,わざを取得するライセンスを獲得できます。つまり,対応する装備品を所持していてもライセンスがなければ使用できないということです。そのほかステータス上昇も開放できますので,自身の戦略に沿ったボードの進め方ができるという面白さがあります。
また各キャラごとに1ボードにつき3種類の特殊攻撃ミストナックが設定されています。(表にて一覧表示)ミストナックにはレベルが存在し,ミストナックカードリッジを消費します。また特定条件下でミストナックを使用することで融合技を発動でき,「炎のインフェルノ」「土のカタクラズム」「水のイラプション」「風のラプチャー」「ホワイトアウト」「アークブラスト」「ルミネッセンス」「ブラックホール」の全8種類あります。
キャラクター | Lv. 1 | Lv. 2 | Lv. 3 |
---|---|---|---|
ヴァン | レッドスパイラル | ディープハザード | メルトクリムゾン |
バルフレア | 略奪のコンパス | 宿命のポルトラン | 謀逆のアスペクト |
フラン | 乱命割殺掌 | 強甲破点蹴 | 咬撃氷狼波 |
バッシュ | 闇と暗黒の衝撃 | 紛れ無き終焉 | 百鬼・烈日の破邪 |
アーシェ | 北斗骨砕斬 | 聖光爆裂斬 | 天鼓雷音稲妻斬 |
パンネロ | 生殺与奪 | 雲散霧消 | 山紫水明 |
体験談(※一部ネタバレあり)
オフラインMMOのようなプレイ感
本作は人を選ぶ作品だと感じています。イメージとしてはソロのMMORPGという感じで,戦闘システムもそれに沿った環境になっています。特に海外プレイヤーはプログラムする要素を高く評価しているようです。やりこみ気質な私としては戦闘面の奥深さに思い入れがありますね。本作にはストーリーの敵よりかなり強めの「モブ」要素があり,”強敵に挑んでキャラクターを成長させる”というプレースタイルが好きな人には向いていると思います。
ちなみに上記画像は本作屈指のHPを誇るヤズマットと呼ばれるボスです。そのHPはなんと5,000万!残りのHPの割合に応じて行動も変化するため,しっかりと観察しながら戦いましょう。
賛否分かれたシナリオ構図
問題はストーリーですが,決してつまらないわけではありません。政治色が強く多少複雑な面もありますが,そのかけ引きや各人の思惑など見どころがあります。本作ストーリーについてよく言われている批判は「主人公に主人公感がない」,「複雑そうに見えて浅い」というものです。これらは風呂敷を広げ過ぎた結果,主人公も深掘りされなかったことが原因なのではと個人的には感じています。
まとめ
FINAL FANTASY XIIはRPGらしいやりこみ要素が際立つ独創的なタイトルです。シナリオと戦闘システムの両面で,これまでのシリーズとは異なる仕上がりとなっています。
シナリオに関しては,ハマる人にはハマるといえます。シナリオは序盤から王国の滅亡と窮地に立たされたところから始まります。政治的なかけ引きや,それに振り回される主人公たちがどのように苦難を乗り越えていくのかが見所です。
戦闘システムに関しては,RPG好きにはハマるコンテンツといえます。自身の戦略をベースに育成,さらには戦闘のプログラム構成まで着手できるため,工夫を凝らした戦闘が楽しめます。MMORPGのように仲間との連携して強敵に挑むなどそれまでのシリーズでは味わえない体験があります。
ここまで興味を持って記事を見ていただいた方にはハマる作品だと思います。RPG好きであればなお親和性があると思いますので,ぜひプレイしてみてください!
- MMORPGのような操作性,フィールドが独創的
- やりこみがいのある戦闘システム「ガンビット」,「ライセンスボード」
- これまでのシリーズと異なる戦争や政治色の強いストーリー