※本レビューには途中,作品のネタバレ内容を含んでいます。
FFVIIリメイクシリーズとしてリリースされた『FFVIIリバース』。まだプレイしていない,あるいはプレイ中という方も多いと思います。実際にプレイしてみてどうなの?という方の参考になればと思い,100時間以上プレイした体験談を共有します!
本記事の内容はこんな感じ
(FFをプレイしたことがない方にも読みやすい内容にしています)
↓↓↓↓
- FFVIIリメイクシリーズの概要
- 戦闘のプレイ感
- 原作とのシナリオ比較
- 本編以外のやりこみ要素
- 総評
FFVIIリメイクシリーズの概要
※FFVIIを知らない方向けの内容ですので,読み飛ばしていただいて構いません。
FFVIIリメイクシリーズは3部作構成
FFVIIリメイクシリーズとはFFVIIオリジナルをベースとして,新たに展開されているFFVIIの物語を描いた作品です。これは3部作構成であることが発表されており,2020年に『FFVIIリメイク』,2023年に『FFVIIリバース』が発売されています。
リメイクシリーズはその名の通り”作り直されて”いるため,オリジナルと全く同じシナリオではありません。ですがオリジナルに準拠した内容なので,原作に沿ったシーンも多数登場します。この辺りを楽しむためには過去作をプレイする必要があります。
ストーリー進行度の比較
オリジナル版と原作のストーリー進行度を比較するとこんな感じ。オリジナル版はDisc3枚構成になっていますが,リメイクシリーズは2作目まででオリジナル版のDisc1相当。ストーリー全体の50%程度にとどまっています。
リメイクシリーズではシナリオが”作り直されて”いることから,オリジナル版のシナリオ全てを踏襲しない可能性も大いにあります。とはいえ,3作品目で完結するのか…?という意見は多いです。
FFVIIには多数の関連作品がある
FFVIIはFF史のなかでも屈指の人気を誇ることから,関連作品が多数リリースされています。詳細は割愛しますが,FFVIIリバースに大きく関わっているのは,『FFVIIオリジナル』,『クライシスコアFFVII』,『FFVIIリメイク』の3作品です。いずれもNintendo SwitchあるいはPS4/PS5にてプレイできますので,FFVIIリバースを最大限楽しむためには3作品を履修すると良いでしょう。
クリア後の個人的な意見ですが,FFVIIリバースは履修しておきたい作品が多く,FFVIIを知らない方にはおすすめできません。初見でも戦闘や世界観は楽しめるかもしれませんが,シナリオが十分に楽しめないため不完全燃焼になりかねません。関連作品の要点を知りたい方は以下の記事を参考にしてください!
プレイする時間がない方,おさらいしたい方はこちらの記事を参考にしてください!
- リメイクシリーズは原作をベースに3部作に分けてシナリオを作り直している
- リメイクシリーズは2作目で原作ストーリーの50%程度の進行度
- FFVIIリバースは関連作品の描写が多く,シナリオを楽しむという観点ではFFVII未履修の方にはあまりおすすめできない
ここから体験談・レビューを書いています。ネタバレ内容を含みますのでご注意ください。
また各項目ごとに個人的な点数評価を記載します。参考になれば幸いです。
戦闘のプレイ感
前作からさらに戦闘の戦略性が増した【85点】
FFVIIリメイクシリーズはスピード感のあるアクションスタイルのバトルが魅力です。FFVIIリバースではよりパーティーバトルを意識した要素が盛り込まれています。前作からの大きな変更点は以下の通り。
- 「連携アクション」と「連携アビリティ」の追加
- 「レッドXIII」,「ユフィ」,「ケット・シー」の参戦(一部セフィロス,ザックス使用可能)
- 「スキルブック」で各キャラクターとパーティーの強化
戦闘の基本的な流れとして,敵の弱点を突いてHEAT状態とし,この間にBUSTゲージを溜めてBUST状態にします。弱点に「連携アクション」が設定されていることも多く,パーティーでの戦闘を意識したつくりになっているのでしょう。「連携アクション」の習得や各キャラクターの強化はスキルブックにて行うため,立ち回りのほか育成にも戦略性が求められるようになっています。この辺りは試行錯誤できて面白かったと思いました。
一応アクションが苦手な方向けの”クラシックモード”なるものがあります。立ち回りは自動で行われ,プレイヤーはコマンド入力に注視する従来のFFに近いモードです。ただ,あまりに戦闘に味気がなさすぎるので個人的にはおすすめしません。せめてEASYモードでもいいので,アクション型バトルを楽しんでもらいたいですね。
新たな召喚獣が戦闘をサポート【90点】
前作からさらに召喚獣が追加されました。オリジナル版をプレイした方には見覚えのある召喚獣も実装されています。加えて特典や隠し召喚獣も数体導入され,戦術に合わせた召喚獣の構成を組むことができます。
個人的にはバハムート改のフィニッシュ技”ギガフレア”の演出が原作リスペクトされていて気に入っています。ブラッシュアップされた召喚獣たちの迫力はすさまじいですね!
やりこみ要素の戦闘は高難度【70点】
戦闘の奥深さが増したことで手ごたえが感じられるようになりました。一方で,やりこみ要素にあたる戦闘は高難度で,一筋縄ではいかないレベルになっています。回避困難なパーティーメンバーの強制離脱攻撃など攻略手段が限られる場合も少なくないです。
シナリオに関わるケースはほとんどないため,無理にやりこむ必要はありません。トロコンを目指したい方にとっては障壁になるでしょう。
- 「連携アクション」や新規キャラ参戦により,戦闘の戦術性が求められる
- 多数の召喚獣が追加(一部特典を含む)
- 戦術の複雑化により,主にやりこみ要素の戦闘が高難度化
過去作とのシナリオ比較
原作をベースとしたシナリオ構成【80点】
リメイクシリーズは基本原作をベースとしたシナリオ構成になっています。リメイクシリーズの醍醐味はその名の通り”作り直す”こと。既に完結している原作シナリオをなぞるなかで,新しい物語の変遷をたどるというコンセプトです。これに関しては,個人的に以下のメリット/デメリットがあると考えます。
メリット | デメリット |
---|---|
・シナリオ構成がファンにも新規にも焦点があてられる ・サウンドやボイスにより原作からの進化を感じられる | ・履修すべき作品が多い(初見では伏線に気づけない) ・伏線がちらかってしまう(マルチバース的解釈) |
リメイクシリーズでは随所に原作との違いを匂わせるシーンがあらわれます。この変遷が良くも悪くも際立っています。原作ファンは思い出を追体験しつつ,新たな物語の可能性を考察できます。また新規はFFVIIの世界観を高解像度で楽しめます。ただしシナリオを十分に解釈するためには,履修すべき過去作が多くなってしまいます。『FFVIIオリジナル』,『クライシスコアFFVII』,『FFVIIリメイク』の3作品がシナリオに大きく関わっています。FFVIIリバースを楽しむためには,少なくとも『FFVIIオリジナル』はプレイした方が良いでしょう。ちなみに『FFVIIリメイク』はダイジェストでおさらいすることができるので,参考にしてください。
ダインとの再会・別れ【100点】
原作とシナリオを比較したなかで「原作越えでは?!」と感じたシーンを紹介します。それはダインとの決戦です。バレットと同じく家族と故郷コレルを神羅によって失ってしまい消息不明でした。そんなかつての親友ダインとの再会を果たします。しかしそこにはかつての面影はなく,怒り・憎悪に飲まれ心は壊れていました。
何がよかったのかというと,ダインに声がのったことで,本シーンの重厚感が一気に表現された点です。オリジナルではテキストのみの表現でしたが,FFVIIリバースでは声優の津田健次郎さんがボイスを担当しています。この方の怪演に定評があることも相まって,ダインの内なる憎悪が非常によく表現されています。グラフィックの進化により所作にも感情が表現され,非常に重厚で印象的なシーンとなっています。個人的にFFVIIリバース中で最も好きなシーンで,原作よりも好きな仕上がりになっています。
ここでは原作同様バレットによる一騎打ちになります。実はこの戦闘,かなり難しかったりします。原作を再現したのか,真相はわかりませんがFFVIIリバースでも苦戦を強いられるかもしれません。
クライシスコアのシナリオ変遷【70点】
『FFVIIリメイク』では,シナリオを改変したことで新たな世界線が描かれていました。なかでも驚いたのが『クライシスコアFFVII』のシナリオ変遷。『クライシスコアFFVII』では主人公ザックスはミッドガルにたどり着く直前で死亡してしまいます。しかしシナリオの改変により生存。『FFVIIリバース』では新たな世界線を生きるザックスのストーリーが描かれています。
しかし新たに描かれたストーリーは多岐にわたるものの正直どれも救われない…という印象です。生存したかと思えばザックスにとっては辛い現実に直面するばかりです。プレイした感想としては,伏線がとっちらかってるという印象です。実際色んな可能性は示唆されているのに,ザックスのシナリオをプレイすることはほとんどありませんでした。ファンサービスとして『クライシスコアFFVII』要素が盛り込まれているのかもしれませんが…。
- 過去作をベースとしたシナリオ構成なので,FFVII未履修は十分に楽しめない
- 過去作からの変遷を打ち出すことで,ファンにも新規(一応?)にも焦点を当てたつくり
- ダインとの決別シーンは原作越えと思えるほど完成度が高い
- クライシスコアFFVIIの要素を組み込んだものの,伏線がとっちらかっている印象
本編以外のやりこみ要素
FFVIIリバースは本編以外のやりこみ要素が非常に多いです。本編だけをプレイすれば40時間ほどでクリアできますが,多くのプレイヤーは80~100時間以上プレイしたと回答しています。サブクエストや多彩なミニゲーム,オープンワールド探索を楽しんでいると自然と100時間近いプレイ時間に到達しますね。本編以外の要素が楽しめるという点が良ゲーあるいは神ゲーと称される要因の一つかもしれません。
ここでは本編以外のやりこみ要素をジャンルごとにざっくりと紹介していきます。
イベント関連【85点】
ここでは本編ではありますが,シナリオには直接関連しないためやりこみ要素として紹介します。それは各キャラクターの好感度によるイベント分岐です。チャプター8とチャプター12のゴールドソーサーにて,その時点の好感度が最も高いキャラクターとのイベントが発生します。どのキャラも好感度が一定値に達していない場合の分岐イベントもあります。対象キャラとのデートとなり,本音で語り合うシーンは見ごたえがあります。
個人的にはティファとのイベント(チャプター12)が印象的でした。振り回されながらも想いを寄せるティファの気持ちが報われたように感じました。ちなみにクリア後はイベント発生相手を指定することができますので,好きなキャラとのイベントが見られますよ。
探索・サブクエスト関連【80点】
本編以外のやりこみ要素として最もボリュームのあるコンテンツが探索・サブクエストでしょう。特に探索に関しては,ボリュームに加えて単調だとして批判の声が上がるほどです。個人的にも探索関連の要素は全体的にテンポの悪さを感じました。
一方でサブクエストは本編に関連する内容が包括されているケースがあります。加えて各キャラクターの好感度に直結するため,優先度は高めです。本作から登場したキャラクター関連のサブクエストは要チェックですね。
FFVIIリバースには魅力的なキャラクターが数多く登場していますが,”過去作で登場したキャラクターの今”を知ることができるサブクエストもいくつかあります。ファンとしてはうれしい要素ですね。前作『FFVIIリメイク』からはマダム・マムやキリエ,『クライシスコアFFVII』からはシスネなど。お気に入りのキャラも登場するかもしれませんね。
バトル関連【70点】
前述した内容と重なってしまいますが,パーティーバトルによる戦術の多様化により,戦闘で求められるハードルもそれなりに上がっています。特にマストではない,やりこみ要素にあたる戦闘は比較的高難度です。ざっと紹介すると…
- バトルシミュレーター
- 召喚獣バトル(比較的簡単)
- サブクエスト関連
- シークレットモンスター
「サブクエスト関連」では10数項目のバトルミッションが課せられますが,比較的攻略しやすいです。シナリオに関わるケースがあるので,万人が突破できるような難易度に調整していると思われます。戦闘が苦手な方にとってはまあまあな苦行になると思いますが…。
特筆すべきは「バトルシミュレーター」です。先述した探索を進めると徐々に追加される要素で,あらゆる敵と網羅的に戦闘します。私は全体の95%ほどクリアしましたが,残りはお手上げ状態…。アクション型バトルなので,そこそこのマルチタスクが要求されますね。
こんな具合のバトルミッションが膨大なボリュームかつ高難度なので,作業感は否めませんね。いわばトロコンを目指す方向けのコンテンツとなっています。ぜひ自身の腕前を試してみてはいかがでしょうか??
ミニゲーム関連【90点】
『FFVIIオリジナル』でも人気を博していたミニゲーム要素。FFVIIリバースでは娯楽施設ゴールドソーサーに行けるため,発売前から期待が高まっていました。そしてプレイした感想ですが,普通におもしろかったです。
全ては紹介しきれませんが,個人的に良かったと感じたものを紹介します。
本編シナリオに関係するのは「社長就任パレード」ぐらいですが,その他はやりこみ要素です。ですが「チョコボレース」や「クイーンズブラッド」はおまけ要素とは思えないほどボリュームのあるコンテンツです。『FFVIIオリジナル』でも非常に人気だった「チョコボレース」は実質マ〇オカートになっていました。(まあそれはそれで面白いのでOKです)
今作から導入された「クイーンズブラッド」は世界各地のバウター(決闘者のこと)と陣取りゲームの合計得点を競うカードバトルです。各地のバウターと勝負しているとちょっとしたストーリーが展開される力の入れよう。将棋に近しいものを感じる戦略的なゲームで割と好評なようです。
- やりこみ要素が盛りだくさんでFFVIIリバースを長く楽しめる
- イベント・サブクエスト・ミニゲームの要素は非常におすすめ
- 戦闘・探索は面倒ならスルーでもOK
総評
FFVIIリバースの体験談をざっくり紹介してきました。まとめると…
- どちらかというとファン向けの作品で,FFVII関連作品を未履修の場合は十分楽しめない
- 育成・戦術ともに選択肢が広まり,戦略性が増した。ぜひ臨場感あるアクションバトルを楽しんでほしい
- 本作のシナリオの核心は原作からの変遷。ゆえに原作をプレイすることを強くおすすめ
- 本編以外にもやりこみ要素が盛りだくさんの「良ゲー」
ファンとしては関連作品をプレイしてからFFVIIリバースを楽しんでもらいたいですね。というのも本作はリメイクシリーズ第2作。完結する第3作目が現在制作中です。第3作のリリースはFFVII30周年にあたる2027年では?とのうわさも出ています。ここまで記事を読んでくださった皆様にはぜひさまざまな『FFVII』を楽しんでもらいたいです!そしてリメイクシリーズも最後まで見届けていきましょう!
【以下は個人の感想です】
総評で良ゲーとしたのは,いちFFファンの個人的な期待を込めたからです。ファンサービスはもちろんうれしいのですが,それ以上に新規の人にFFに興味を持ってもらえるような作品づくりに注力してもらいたいです。FFVIIリバースは正直参入するには難しい点が多いです。本作で気になった内容から他作品に興味を持ってもらえる可能性もありますが…。FFVIIリバースをプレイするにはそれなりの軍資金が必要です。「せっかく高い投資をしたのに十分に楽しめなかったなぁ」という印象を持たれかねないか心配です。