FFVIIリバースの発売など今まさにFFVIIが注目されています。オリジナルも大人気なだけあって,関連作品への関心も高まっているように感じています。
そこで今回はオリジナルのその後を描いた作品のひとつ「ダージュ オブ ケロべロスFFVII(以下DC FFVII)」について紹介したいと思います。今となってはなかなかプレイできないと思いますが,ぜひご覧になってください!他作品との関連についても紹介しますので,ぜひ最後までご覧ください。
概要


DC FFVIIは2006年にDVD-ROMで発売されたシューティングゲームです。形式としてはTPSゲームで,オフライン・オンラインの両面でプレイすることができました。(オンラインモードは2006年に終了)FFVIIにも登場するヴィンセントを主人公としたタイトルで,FFVIIオリジナルから3年後の物語を描いています。
本作にはFFVIIリメイクのDLCでも登場するキャラクターがいます。またところどころムービーやイベントが挿入されており,当時のプラットフォーム(PlayStation2)としては良いグラフィックの映像が見られます。
主要人物

- ヴィンセント・ヴァレンタイン cv. 鈴木省吾
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元神羅製作所総務部調査課(通称タークス)のガンマンで,ジェノバ戦役(FFVIIオリジナル)の英雄のひとり。本作を通じて,自分の過去とカオス,そしてルクレツィアの真実を知ることになる。

- ケット・シー cv. 石川英郎
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リーブが操るネコ型ロボット。同じ機体が複数あり,関西弁のような言葉を話す。戦闘時はデブモーグリの機体を操っているが,本体は非力なため戦闘能力は低い。

- リーブ・トュエスティ cv. 銀河万丈
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元神羅カンパニー都市開発部門総括で,ジェノバ戦役の英雄のひとり。WRO(世界再生機構)の局長として活用しており,本作の騒動にヴィンセントを引き込んだ。
無機質を操る「インスパイア」という異能力を持ち,ケット・シーを操って行動している。

- ルクレツィア・クレセント cv. 夏樹リオ
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元神羅カンパニーの科学者でセフィロスの母。ジェノバ細胞の影響や心労が重なり,カオスの泉の水晶の中で永遠の眠りにつく。オメガとカオスの研究をしており,ヴィンセントの体内にカオスを宿した。

- 宝条 cv. 野沢那智
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元神羅カンパニー科学部門統括でセフィロスの父。ジェノバ戦役で人としては死亡したが,死の直前にネットワークに自身の頭脳をばら撒いており,3年を経てヴァイスを宿主として復活する。
オメガをその身に宿し,星の海へと飛び出そうと考え,ネロらを利用する。

- シャルア・ルーイ cv. 浅川悠
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WRO技術部の科学者。ソルジャーの素質を見いだされて神羅に連行されたシェルクを探し続けている。危険に身を晒されて身体や内臓の一部を人工物にして暮らすこととなる。

- シェルク・ルーイ cv. 折笠富美子
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無式のシェルクと呼ばれ,ネットワークに先行する特殊能力「センシティブ・ネット・ダイブ」を持つ。放電する2本の槍を使って戦う。実年齢は19歳であるが,実験の影響で見た目は幼く見える。

- アスール cv. 玄田哲章
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蒼きアスールと呼ばれ,ベヒーモスのようなモンスターに変身する能力を持つ。非常に好戦的な性格で戦車砲をも軽々と持ち上げるほどの怪力を持つ。古風な言い回しが特徴。

- ロッソ cv. 田中敦子
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朱のロッソと呼ばれ,実験の影響から情緒不安定なところがある。残忍な性格で人間離れした瞬発力と不死に近い体質を持つ。世界中の人間を皆殺しにするという夢を持つ。中心に銃口があり,左右に刃が伸びたブーメラン状の武器を使う。

- ネロ cv. 置鮎龍太郎
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漆黒の闇と呼ばれ,相手を闇に取り込んで消滅させる能力を持つ。ヴァイスを兄と呼び慕っている。普段は両腕を服で体に縛り付けている。戦闘などでは拘束を解き,肩から伸びた腕状の翼で二梃の拳銃を扱う。

- ヴァイス cv. 中田譲治
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純白の帝王と呼ばれ,ディープグラウンドの頂点に君臨している。刀を模したガンブレードのような武器を2本携えている。本作では仮死状態になっていた。
ストーリー

FFVIIオリジナルから3年,かの騒動は「ジェノバ戦役」と呼ばれ,星を救った戦士たちはジェノバ戦役の英雄と称されていました。本作の主人公ヴィンセントもその一人です。
カームの街では復興を祝う祭りが行われていました。すると突如爆撃が降りかかり,兵士たちが街を侵略し始めました。ヴィンセントは街を守るために応戦します。そこに世界を立て直すべく設立された組織WRO(世界再生機構)の部隊も加わり,ヴィンセントと共闘します。
その後,WROの設立者であるリーブがこう話します。兵士たちは「ディープグラウンドソルジャー」と呼ばれ,神羅は秘密裏に強い兵士を生み出す実験・研究をしていたのです。その兵士のなかでも特に優れた能力を持つ者は「ツヴィエート」と呼ばれているなど,神羅のなかでも限られた人間しかその情報を知らされていなかったようです。
リーブとヴィンセントが話していると,突如ある電波ジャックにより放送が流されます。そこに移った男はこう語ります。
時は来た―
我らは,これより世界すべての狩り取りを行う
選ばれし者は糧となることを許そう
選ばれる価値のない者には殺戮と虐殺を与える
縊り,バラし,斬り,殺し…撲殺して刺殺して圧殺して
扼殺し突き殺し,射殺して,塵殺しよう
この世界に,新たな危機が迫っていたのです。
戦闘システム
本作のジャンルはほぼTPSスタイルに近いFPSスタイルです。攻撃は「ガン」「魔法」「格闘」「リミットブレイク」を使用します。FPSの基本操作として「ジャンプ」「ローリング」「リロード」があります。
- ガン:ハンドガン,マシンガン,ライフルの3種を使い分けて攻撃
- 魔法:武器にマテリアを装備することで使用でき,アイテム装備で魔法レベルが上がる
- 格闘:ガントレットや蹴りで近接攻撃
- リミットブレイク:MPを消費することで一定時間ビーストに変身できる。
また3つのモードが選択でき,「チュートリアルモード」「シングルプレイヤーモード」「マルチプレイモード」があります。
チュートリアルモード

タークスに所属していた頃のヴィンセントを操作し,基本操作を学ぶことができるモードです。全7章で構成され,中断はできません。チュートリアルとはいえ敵はそこそこ攻撃してくるので,気を抜くと敗北してしまう可能性があります。
シングルプレイヤーモード

ヴィンセントを操作し,ストーリーを進めるモード。ムービーやイベントが随所に入り,明確な区切りはないものの章立てされたストーリーを進んでいく形式となっています。ステージの途中や最後にボスが登場し,撃破するとイベントを挟んで戦績評価が見られます。
戦績評価は進行中に発生するミッションの評価や命中率などの結果を総合判定し,高評価ほど報酬が多くもらえます。報酬は経験値またはギルとして得られ,武器のチューンアップにも利用できます。
難易度は「EASY」「NORMAL」「HARD」が選択できます。「EASY」は自動照準付き,「NORMAL」は自動照準がやや弱体化,「HARD」は自動照準なしとなっています。
マルチプレイヤーモード

スクウェア・エニックスの「PlayOnline」で提供されていたが,2006年にサービス終了しています。プレイのためにはPlayStation BB Unitが必須だったので,当時この環境をそろえていた方は少ないと思います。
シングルプレイヤーモードとストーリーがリンクしており,シングルプレイヤーモードのキャラクターも多数登場します。
体験談(※一部ネタバレあり)
私からお伝えしたいのは,「プレイするゲーム」ではなく「観るゲーム」ということです。現在ではなかなかプレイすることはできないと思いますが,特に,FPSに触れている方ほど物足りなさを感じてしまう作品といえるでしょう。ですので,本作は観て楽しむことをおすすめします。
ちなみに調べてみると,本作を配信されている方がそれなりにいらっしゃることを知って驚きました。
キャラクターの個性が楽しめる
本作ではさまざまな舞台設定が追加され,個性的なキャラクターもかなり登場しています。特に人気だったのが,シェルクと宝条です。

シェルクははじめの印象こそ感情のないデジタルなロリですが,心境の変化と共にお手本のようなツンデレっぷりを披露してくれます。声優の折笠さんも相まって,刺さった方も多いと思います。
一応,ルクレツィアとシェルクのダブルヒロインなのですが,役回りがヴィンセントとルクレツィアの橋渡しのような扱いになってしまっていましたが…。今後再注目されることはあるのでしょうか?

宝条はFFVIIオリジナルでもヒール役としてその魅力を発揮していましたが,今作ではただただ悪い奴というような描かれ方をしていて,個人的には残念でした。ですが,声優の野沢さんの怪演っぷりがあまりにハマっていて,本作最大の高評価といっても過言ではないほどです。
最新作では宝条の声は千葉繫さんが担当しており,また違った雰囲気が演出されています。野沢さんが演じる宝条は本作でしか楽しめないので,気になる方はぜひご覧になってみてください。
FF7最新作でも登場する

本作のキャラクターのなかで「漆黒の闇」と「純白の帝王」は『FFVIIリメイクインターグレード(FFVII RIG)』にて登場しています。DCFFVIIを知らない方からすれば「誰…?」という印象だったでしょう。
ネロはFFVII RIGのラスボスで登場し,DC時代を上回る狂人っぷりを発揮しています。はじめは拘束具をつけているが,HPを削ると翼を展開して拘束も解放します。闇に耐性のあったヴィンセント以外では,かなり恐ろしい相手であることがわかります。
ヴァイスはFFVIIリメイクとFFVII RIGをクリアするとバトルシミュレーターに登場します。おまけ要素ではありますが,作中最強の敵キャラです。銃刀二刀流,アスールのガトリング,ロッソの長刀の3つのモードを使い分けてきます。おまけ要素の割にはかなり作りこまれていますね。
なじみ過ぎて違和感ない謎のソルジャーG
本作にはGレポートなるものが3つ隠されており,これらを全て回収した状態でクリアするとシークレットムービーがエンディング後に観られます。そこにはヴァイスを抱えて空へと羽ばたく人物の姿が…。
正体はクライシスコアFFVIIで登場したソルジャークラス1stのジェネシス改めGackt本人です。ディープグラウンドに深く関わっているとされ,ヴァイスやネロをはじめとするツヴィエートがその因子を受け継いだとされています。
映像ではGackt本人が実写で登場していますが,あまりに違和感がないとして話題となりました。普通になじんでいますよね。
方々から批判を受けた過去が…

本作の知名度が今ひとつなのは,当時から批判的な意見が多かったからかもしれません。いくつか問題点を紹介したいと思います。
- 「ムービーゲー」になってしまっている
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当時のプラットフォームとしては確かに美麗なグラフィックで,見ごたえのあるムービーでした。ところがひとたびプレイパートに入ると,そのムービーとの落差が目立ち,粗いポリゴンモデルが気になってしまう…。ムービーを観る途中にゲームをしているという感覚になってしまいます。
- ガンアクションとして不出来
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ほぼTPS視点でカメラがぐるぐると回るので酔いやすい。ポリゴンモデルの粗さからモッサリとしたアクションです。またリミットブレイクによりビースト状態になれるが,格闘攻撃が使いやすくもはやガンアクション要素がどこへやら…。
- ストーリーやキャラクターにこじつけが散見
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本作の冒頭でヴィンセントとユフィはメテオ災害時にミッドガルで救助活動をしているという描写がありました。これに対して,FFVIIオリジナルの2年後(本作の1年前)にあたるFFVIIアドベントチルドレン(FFVII AC)では二人が当時大空洞内にいた事実が描写されています。FFVII ACの方が本作よりも先にリリースされているので,矛盾が明確になっているとしてファンから批判の声が。
こうした背景からFFVIIファン,シューティングゲーファン,初見の方からも批判されるという始末。FFVII人気が裏目に出た黒歴史作品とまで言われているのが現状でしょう。
まとめ

FFVII人気に合わせてリリースされた本作は,知る人ぞ知るかなりニッチな作品となりました。登場キャラクターなどは個性的で根強い人気を誇る者もいます。FFVIIリメイクシリーズで再登場したことで再注目され,脚光を浴びたことにファンも驚いたでしょう。
おそらく移植やリメイクはされないでしょうから,プレイしてみたいという方はぜひPlayStation2をお買い求めの上,体験してみてください。