ディシディアデュオデシムファイナルファンタジー(DDFF)は2011年にPlayStationPortable(PSP)にて発売されました。2008年に同機にて発売された『ディシディアファイナルファンタジー(DFF)』の続編を描いた作品です。(令和の時代にPSPのゲームの話?!というのはナシで…。)
独自の世界で展開されたストーリーをさらに深掘り,全てのキャラクターにまんべんなくスポットを当てたシナリオになっています。前作DFFから新規キャラクターや召喚獣,ステージやBGMなど多数のコンテンツが追加されています。
本作はDFFシリーズ最高傑作といわれ,リメイクやリマスターを望む声も多く聞かれます。私も本作は非常に思い入れのある作品で,総プレイ時間が3000時間以上になるほどやりこんでいました。FFファン史上最高のゲームである本作の魅力をお伝えしたいと思います。
概要
DDFFは2011年にPSPにて発売され,2008年に発売された『ディシディアファイナルファンタジー』の続編となります。発売初週の売り上げは30万本以上と同時期に流行していたNintendo 3DS関連タイトルにも引けを取らない売り上げとなっています。実は本作には前作の内容も遊べる形になっており,当時のUMD容量のギリギリまで詰め込んだタイトルでもあります。本作には発売に先駆けた先行配信版の『プロログス』がリリースされています。こちらは本作の本編が始まる前のライトニングに焦点をあてた物語をプレイできます。本作未収録の内容が含まれています。
とはいえ本作では前作からさらに多数のコンテンツが追加され,オフラインでもオンラインでも楽しめる作品となりました。「RPG好きのユーザーに対する訴求力を高める」,「戦闘システムにより戦術性をもたせる」ことを目的とした大幅なアップデートにより,アクションRPGとしての完成度が向上しています。
ちなみに本作の”デュオデシム”とはラテン語で”12”を意味し,前作で終結した神々の13回目の闘争よりも前に起きた12回目のストーリーを描いています。本作は前作とは勢力図が微妙に異なっていて,そのワケもシナリオに沿って描かれています。各シリーズのキャラクターたちが一同に会する”お祭りタイトル”というだけではなく,ちゃんとストーリー性を持った一つの外伝作品となっている点が魅力ですね。加えて”アクション対戦型”という新規ジャンルでのファイナルファンタジーを築き上げた名作と言えます。新規の方は本作をきっかけに新たな世界を知ることができますし,既プレイの方はより作品愛・キャラ愛を高められる良い機会となるでしょう。
主要人物
- コスモス cv. 島本須美
-
調和を司る神で,いわゆる”ヒーローサイド”の戦士たちを召喚した人物。カオス陣営が作り出した無限の軍勢「イミテーション」の猛攻により,窮地に追い込まれた状況に陥る。わずかに生き残った戦士たちに世界を救うよう助言する。
- カオス cv. 若本規夫
-
混沌を司る神で,いわゆる”ヴィランサイド”の戦士たちを召喚した人物。コスモス陣営の共通ストーリーとして,実際に戦闘することになる。COM専用で操作はできない。
No Image
- 大いなる意思 cv. 菅原文太
-
本作のナレーションとして登場し,姿はない。のちのタイトル『DDFF012』にてモーグリの姿で登場する。実は『FFI』との関連性があり,コスモスとカオスとの関係性をうかがえる場面がある。
本作では前作から続投している22名に加え,新たに9名(アシスト専用で1名)の新規キャラクターが参戦しています。また前作とは異なる世界線のため,所属陣営の異なるキャラクターも数名います。登場キャラクターとその声優を一覧にして紹介します。
タイトル | コスモスサイド | カオスサイド |
---|---|---|
FF I | ウォーリアー・オブ・ライト cv. 関智一 | ガーランド cv. 内海賢二 |
FF II | フリオニール cv. 緑川光 | 皇帝 cv. 堀内賢雄 |
FF III | オニオンナイト cv. 福山潤 | 暗闇の雲 cv. 池田昌子 |
FF IV | セシル・ハーヴィ cv. 程嶋しづマ カイン・ハイウィンド cv. 山寺宏一 | ゴルベーザ cv. 鹿賀丈史 |
FF V | バッツ・クラウザー cv. 保志総一朗 | エクスデス cv. 石田太郎 ギルガメッシュ cv. 中井和哉 |
FF VI | ティナ・ブランフォード cv. 福井裕佳梨 ケフカ・パラッツォ cv. 千葉繫 | |
FF VII | ティファ・ロックハート cv. 伊藤歩 エアリス・ゲインズブール(アシスト) cv. 坂本真綾 | クラウド・ストライフ cv. 櫻井孝宏 セフィロス cv. 森川智之 |
FF VIII | スコール・レオンハート cv. 石川英郎 ラグナ・レウァール cv. 平田広明 | アルティミシア cv. 田中敦子 |
FF IX | ジタン・トライバル cv. 朴璐美 | クジャ cv. 石田彰 |
FF X | ジェクト cv. 天田益男 ユウナ cv. 青木まゆこ | ティーダ cv. 森田成一 |
FF XI | シャントット cv. 林原めぐみ プリッシュ cv. 平野綾 | |
FF XII | ヴァン cv. 小野賢章 | ガブラス cv. 大塚明夫 |
FF XIII | ライトニング cv. 坂本真綾 | |
DDFF | デスペラードカオス cv. 若本規夫 |
(新規参戦キャラは太字表記)
ストーリー
調和の神コスモスと混沌の神カオスにより召喚された戦士たちは元いた世界の記憶を失い,神々の闘争に参戦しなければならない。そして勝敗が決まると戦士たちは「浄化」と呼ばれる処置を受けて戦いの記憶を失い,また新たな闘争が繰り広げられる。神々の闘争は12回目を迎えた。
戦士たちを戦いの輪廻から解放するため,コスモスは自らを犠牲にしてクリスタルを戦士たちに与える。一方で,カオスの戦士たちは無限の軍勢”イミテーション”を使役し,コスモスの戦士たちを追い詰めていた。
戦いのさなか,ライトニングはガーランドからある事実を告げられる。
「イミテーションに倒された戦士は浄化を受けることなく,完全に消滅する」
ライトニングたちはイミテーションについてコスモスに聞くため,帰路についていた。しかし道中に仲間とはぐれ,仲間の一人カインはなぜかコスモスの戦士を倒していた。事態が困窮するなか,12回目の闘争は終焉に近づいている。
戦闘システム
基本はDFFシリーズおなじみの戦闘システム
「ブレイブ攻撃」と「HP攻撃」の概念は前作と同様です。ブレイブ攻撃でブレイブ値(HPゲージ上の数値)を溜めて,HP攻撃をヒットさせることでダメージを与えられます。これによりHP攻撃さえ受けなければ敗北しないことになり,強敵相手にも果敢に挑むことができる環境となっています。ステージ上を縦横無尽に駆け回りながらの戦闘は非常にスピーディーでそこそこのプレイスキルを求められます。
各キャラクターごとに立ち回り方は異なりますので,各種アビリティや装備を整える必要があります。この辺りがアクション要素のやりこみといえますね。あとは対戦あるのみです。(私はジェクトが本キャラでした)
さらに戦術が広がる”アシストシステム”
EXモードの対となるシステムとして,「アシストシステム」が新たに導入されました。これはアシストゲージを消費して他のキャラクターを呼び出して援護してもらうというものです。戦闘前にアシストキャラを設定する必要があり,各キャラごとに特定の攻撃(ブレイブ攻撃 or HP攻撃)を行って帰還します。アシストキャラを呼び出すタイミングはオフェンスとディフェンスの2パターンあり,それぞれ異なる効果を発揮します。
- オフェンス利用
-
・アシストゲージは攻撃モーションをとることで溜まり,1ゲージ消費でブレイブ攻撃,2ゲージ消費でHP攻撃を繰り出すことができます。
・アシストキャラの攻撃と合わせた連携が可能で,壁や地面に激突状態の敵にプレイヤーは即座に攻撃できます。その逆も然り。(激突連携)
・アシストキャラの攻撃フィニッシュ時に,敵の背後に即座に回り込み攻撃できます。(追撃連携)
・EXモード中の敵に対してアシストキャラの攻撃をヒットさせると「EXブレイク」が発動し,マップブレイブを得られる上に相手のEXモードを強制終了させられます。 - ディフェンス利用
-
・自身がダメージを受けているときに使用すると,アシストキャラが身代わりとなって離脱することができます。
・アシストキャラが被弾した場合,アシストロック状態となり一定時間アシストゲージが溜まらなくなります。
オフラインでも楽しめる”パーティーバトル”
本作で新たに追加された「パーティーバトル」。二組のパーティーが最大5人までキャラクターを選択して戦う団体戦です。対戦方式は「勝ち抜き戦」と「ラウンド戦」を選択できます。オンラインではさらに多人数での対戦を楽しむことができ,他者の戦闘は観戦することもできます。オフラインでもパーティーバトルはたびたび登場し,ストーリーモードにて複数のキャラクターを操作して戦闘することになります。
またフリーバトルではブリーフィング時に各キャラクターにジョブを設定することができます。ジョブに応じて能力を向上させることができます。(ジョブボーナス)また基本ジョブのほか上級ジョブも存在し,特定のジョブを持ったキャラが勝利することで設定できるようになります。こうした細かな設定があるからこそ,本作がただのアクションRPGではない奥深さを持っているのでしょう。
ジョブ | ジョブボーナス |
---|---|
すっぴん | 効果なし |
戦士 | ATK +3 |
モンク | 物理攻撃威力1.5倍 |
シーフ | 戦闘開始時EX+アシストゲージ +50% |
暗黒騎士 | ATK +5,DEF -3 |
竜騎士 | ジャンプ力アップ+竜剣(HPドレイン10%) |
白魔導士 | ブレイブ回復速度2倍 |
黒魔導士 | 魔法攻撃威力1.5倍 |
召喚士 | 召喚回数+1 |
ものまね士 | 相手の上級ジョブ効果上乗せ |
ナイト(戦士+白魔導士) | ATK +2,DEF +2 |
侍(戦士+竜騎士) | 先生攻撃で居合抜き(ブレイブBREAK) |
バーサーカー(モンク+黒魔導士) | バトル開始ブレイブ2倍 |
魔法剣士(黒魔導士+暗黒騎士) | 瀕死時被ダメージ半減,与ダメージ2倍 |
忍者(戦士+モンク+シーフ) | アシストゲージMAX時に減少しにくくなる |
賢者(白魔導士+黒魔導士+召喚士) | EXゲージ上昇量2倍 |
体験談とコンテンツ紹介
ここまでで伝えきれなかった,個人的に良かったと思うコンテンツをお伝えしたいと思います。
前作からさらに追加された”コスチューム”
前作では2ndまで実装されていたコスチュームですが,本作からは3rd,キャラによっては4thまで実装されました。これらは本作内でPPを使って開放したり,ダウンロードコンテンツ,あるいは初回限定コード入力などで入手することができます。思い入れのあるキャラクターを原作由来のコスチュームで操作できる点は非常に良かったと思います。ちなみにEXモード時やアシストキャラにも適用されます。
また同様の入手方法で多数のBGMも入手できます。前作からさらに追加され,オリジナル版・アレンジ版が採用されています。戦闘前にいつでも設定できますので,好きなBGMを聴きながらプレイできます。
ここでしか味わえない楽しさがある”ラビリンス”
3000時間以上プレイしたなかで私が最もやりこんだ要素が「ラビリンス」です。操作キャラクターを選択し,装備をしていない状態でダンジョンを攻略していくものです。基本的に3枚のカードの中から選択しますが,扉を選択することで次の階層へと進めます。場合によっては条件を満たさないと開かない扉も存在します。
ダンジョン内でメダルを稼ぎ,装備や召喚獣,アクセサリなどを現地調達していきます。ここで調達した装備品はクリア後テントを設営して置いて帰ることになります。再度ラビリンスに潜り,テントから取り出すことで持ち帰ることができます。ラビリンス内で入手できる装備品のなかにはラビリンスに持ち込める,持ち出せる例外的なものも存在し,強力なものがたくさんあります。
メダルは主に戦闘に勝利して入手しますが,敵が強いほど入手できる枚数も増加します。下層に進むほど敵も強くなり,最下層には非常に強力なボスが待ち受けています。道中味方にできるカードもあり,パーティーメンバーにしたり,アシストにしたりと戦力をまかなえます。パーティーを整えてボスに挑戦したいですね。
まとめ
DDFF012は前作からさらに多数の追加コンテンツを加えたことで,シナリオ・アクション共に奥深くなったDFFシリーズ最高傑作となりました。アーケード版として『DFFAC/NT』がのちにリリースされますが,本作の方がおもしろかったという意見も多く,FFファンのなかでもかなり印象深い作品となっています。
私自身も最もやりこんだゲームで,思い出補正があるかもしれません。友達に布教して対戦したのは懐かしい記憶です…。アクションとしての難易度としては少し高いと思われますが,それでもストーリーは十分に楽しめると思いますので,ぜひプレイしていただきたいです!
- 前作から多数コンテンツが追加され,コスチュームやBGMなども充実
- 「アシスト」「パーティーバトル」により,より戦術が広がった本格アクション
- あらゆる楽しみ方ができるやりこみ要素「ラビリンス」