今回はファンからも高い評価を受けたタイトル『ディシディアデュオデシムファイナルファンタジー(DDFF)』の世界観と物語について詳しく解説します。今回は【7章~エピローグ】の解説です。
この作品には歴代ファイナルファンタジーシリーズの戦士たちが登場し,壮大な神々の戦いに巻き込まれていきます。物語の核心は「調和と混沌を司る二柱の神が引き起こす闘争」と「神々に召喚された戦士たちの運命」にあります。
FFシリーズの周年を記念したタイトルですが,非常に根強い人気を誇っています。本作をプレイしたことのない方でも十分に”観て楽しめる”作品です。ぜひあなたの推しキャラクターを見つけてみてください。
1. 「ディシディアファイナルファンタジー」とは?物語の舞台設定を解説

「ディシディアファイナルファンタジー(DFF)」シリーズはスクウェア・エニックスによって開発された3Dアクションゲームです。
本作は歴代ファイナルファンタジーシリーズのキャラクターを操作し,1 on 1のスピーディーかつド派手な戦闘が楽しめます。
シナリオ面においてもつくりこまれていて,各キャラクターたちの解釈や葛藤などが鮮明に描かれています。それぞれの個性が強調されているので非常に魅力的なシナリオ展開となっています。シナリオは歴代作品をプレイされた方ほどより楽しめます。
過去と未来が交錯する世界観
今回紹介する『DDFF』の物語は前作『DFF』の後を受ける形で展開します。共通点としては,調和を司る神「コスモス」と混沌を司る神「カオス」による永遠の闘争が取り上げられています。そして二作品の違いは時系列にあります。
- DDFF … 12回目の闘争
- DFF … 13回目の闘争
前作で既にエンディングは迎えています。今回紹介する『DDFF』はその前の物語になります。何故永遠の闘争が集結したのか?といった背景が語られるわけです。
ちなみに本作のサブタイトル「デュオデシム」(duodecim)はラテン語で「12」を意味し,12回目の闘争をテーマにしています。
異界の戦士たち

DFFシリーズではシリーズからの数多くのキャラクターが登場します。DFFでは22名,DDFFでは31名の戦士たちが登場します。
タイトル | コスモスサイド | カオスサイド |
---|---|---|
FF1 | ウォーリア・オブ・ライト cv. 関智一 | ガーランド cv. 内海賢二 |
FF2 | フリオニール cv. 緑川光 | 皇帝 cv. 堀内賢雄 |
FF3 | オニオンナイト cv. 福山潤 | 暗闇の雲 cv. 池田昌子 |
FF4 | セシル・ハーヴィ cv. 程嶋しづマ カイン・ハイウィンド cv. 山寺宏一 | ゴルベーザ cv. 鹿賀丈史 |
FF5 | バッツ・クラウザー cv. 保志総一朗 | エクスデス cv. 石田太郎 ギルガメッシュ cv. 中井和哉 |
FF6 | ティナ・ブランフォード cv. 福井裕佳梨 ケフカ・パラッツォ cv. 千葉繫 | |
FF7 | ティファ・ロックハート cv. 伊藤歩 エアリス・ゲインズブール(アシスト) cv. 坂本真綾 | クラウド・ストライフ cv. 櫻井孝宏 セフィロス cv. 森川智之 |
FF8 | スコール・レオンハート cv. 石川英郎 ラグナ・レウァール cv. 平田広明 | アルティミシア cv. 田中敦子 |
FF9 | ジタン・トライバル cv. 朴璐美 | クジャ cv. 石田彰 |
FF10 | ジェクト cv. 天田益男 ユウナ cv. 青木まゆこ | ティーダ cv. 森田成一 |
FF11 | シャントット cv. 林原めぐみ プリッシュ cv. 平野綾 | |
FF12 | ヴァン cv. 小野賢章 | ガブラス cv. 大塚明夫 |
FF13 | ライトニング cv. 坂本真綾 | |
DDFF | デスペラードカオス cv. 若本規夫 |
(DDFF参戦キャラは太字表記)
それぞれのキャラクターの思惑や行動が色濃く描かれています。本作では各キャラクターの背景や個性がさらに掘り下げられますので,あなたの”推しキャラクター”がきっと見つかるはず。
FF経験者にとっては随所に組み込まれたファンサが楽しめます。FF未経験者にとっては各キャラクターの雰囲気を網羅的に感じられるのでおすすめです。
2. ディシディアシリーズの世界観
はじめにDFFシリーズの世界観について解説します。DFFシリーズはこれまでに『DFF』,『DDFF』,『DFFNT』の3作品がリリースされています。
そしてこれらは同じ世界観となっています。共通点は「神々の闘争」と「浄化」です。

二柱の神が異界の戦士たちを呼び集め,世界の均衡を保つために闘争を繰り広げます。そして闘争に敗れた神と戦士たちは「浄化」を受け,再び蘇ります。そしてまた新たな闘争が始まる…といった具合です。
「浄化」とは戦士たちの記憶と経験を喰らい,召喚直後の状態に戻してしまう現象のことです。先ほどは便宜上蘇ると言いましたが,実際にはタイムリープしているような感じでしょうか。
3. ストーリー解説
7章『仲間』

コスモスの戦士と接触するゴルベーザに興味を持ったアルティミシア。何か策を練っているのかと尋ねるも,不要だとゴルベーザは答える。その思いはアルティミシアも同じだった。
終わらない闘争であるが,カオスの戦士たちは勝利を確信していた。
イミテーションに追われるティファ。目の前に現れたのはアルティミシアだった。不意を突かれたティファのもとにカインが手助けに現れた。カインの登場にアルティミシアは警告した。

命が救われたとでも勘違いしましたか?むしろ気をつけるのはその男に対して
違いますか?
おまえの後ろに倒れている戦士がまさに動かぬ証拠となるはず
ティファの後ろにはジタンが倒れていたのだ。警告したアルティミシアはその場から去っていった。ティファがジタンを助けに向かおうとするとカインは制止した。そしてジタンを抱え込み,その場から立ち去ってしまったのだ。
何よ どういうこと? 全然わかんない
話聞かせてもらわなきゃ
カインを追いかけるティファ。カインはティファに武器を向けて臨戦態勢に入る。だがカインは既に満身創痍,その場に膝をついてしまった。カインの身を案じるティファに対してカインはこう話す。
またイミテーションに囲まれるぞ コスモスのところへ戻れ
裏切り者の心配など―
バカ!

ティファはカインにポーションを投げかけ,まくしたてるように話す。
ついさっき人を助けておいて今さら裏切り者?笑わせないで
それに助けられなくたって騙されたりしないよ
教えてよ 理由
ジタンはどこ? 他のみんなにも会ってるの?
ねえ なんで私に武器を向けたの?
話せることはないと答えるカイン。ならばとティファはこう返した。
じゃ ついていくしかないかな
私ひとりでコスモスのところに帰れるか不安なの
でも仲間と一緒にいれば安心だから―ね
カイン 『仲間』でしょ?私たち
これを聞いたカインは事情を話した。自分たちのたどる運命について。しかしティファは落ち着いた様子だった。そしてカインにこう話す。
じゃ 他のみんなを探しに行こうか
カインひとりじゃ行かせられないよ だってカイン もう倒れそうじゃない
みんなを眠らせることが正しいのか 正直まだわからない
でもカインは自分を信じてまだ先に― 倒れるまで先に進むつもりなのよね?
だから私 ついていく 誰にも 倒れてほしくないから
あなたやみんなを守るために戦うわ
決意を新たにしたティファだったが,続けてその胸の内を話してくれた。
悔しいの
この世界に呼ばれたこと 負けること 消えること いろんなことが
私たち 使い捨ての駒なんかじゃない
一緒に戦ってきた大事な『仲間』だよ
『仲間』のためにも戦い続ける。それが敗北する闘争だったとしても…。

カオスの戦士クラウドは混沌の神カオスにひとり戦いを挑んでいた。その強大な力の前にクラウドは敗れ,混沌の闇に飲まれてしまった。
俺は 消えるのか 調和の神コスモス
この声が聞こえたら どうか 頼む 俺の大事な仲間を―
ティファ
終章『託されぬ戦い』

イミテーションの発生源『次元の扉』を目指して,ライトニング一行は進む。その途中,カインとティファが合流した。既にカインの事情を把握していたライトニングたちは自分たちの目的を話した。
イミテーションの脅威まで次へ繋げるわけにはいかない
最終的に勝つって目的はみんな同じってことだ
同じ目的を果たすべく,カインとティファも次元の扉を目指すことに。しかしカインの合流をよく思わない者もいた―。

ライトニング 今さら許してくれとは言わんが すまなかった
人に斬りかかっておいてその程度で済むか―
―おまえが真実を追い始めなかったら きっと私たちはここから抜け出せなかった
それは感謝している
一行は目的地へ向かうなか,コスモスに与えられた力とクリスタルについて話していた。
コスモスの力が私たちの意思と馴染む― その時間があれば違ったんでしょうか
あ でもさ もしかしたらコスモスの意思とオレたちの気持ちが離れたから駄目だったんじゃないか?
イミテーションのせいでオレたちはカオスどころじゃなかったろ?
オレたちがここで次元の扉を壊しさえすれば 次の戦いで他の奴はコスモスと同じ意思を持てる
だからオレたちがやろうとしてることは実はすごく意味があってクリスタルに一番近い
次の戦いで敵はやっとカオスに戻る
そうすればコスモスと同じ意思を持てる―か
次元の扉に近づくにつれ,禍々しい気配は強まる。ところがイミテーションの数が少ない現状が気にかかる様子のライトニング。そこにエクスデスとゴルベーザが現れた。

おまえたちはここでゆっくり私たちの相手をするといい
気づく頃にはすべてが終わっている
おまえたちも感じていたであろう この地のイミテーションの少なさを
イミテーションの大群本体はそろそろ目的地に到達する頃だ
たとえ神であろうとその数を前にしてなすすべもなかろう
調和の神コスモスの玉座 イミテーションの狙いはコスモスだ
忘れたか?主を失った戦士は皆 闇に消える
それは復活も望めぬ 完全なる消滅だ
もはや一刻の猶予もない。カインはその場を引き受け,ライトニングたちを目的地へ急がせる。
ライトニングたちは次元の扉を目指す。完全なる消滅を覚悟して―。そして一行は次元の扉へと到達した。だがそこへカオスの戦士たちが立ちはだかる。

因縁の相手との決着をつけ,カオスの戦士たちを退けることに成功した。
そしてひとり戦うカインもまたエクスデスとの戦いに勝利した。すでに満身創痍のカインのもとにゴルベーザが現れた。

この期に及んでまさか俺を止めたりはせんだろうな
礼を言うべきなのだろうな 私は諦めかけていた
この輪廻を止めることも セシルを救うことも―
行けば消滅はまぬがれんぞ 次の戦いへ向かわずとも良いのか
俺が向かうべきは未来ではない― この先だ


そして6人の最後の戦いが始まろうとしていた。ライトニングは自らの胸中を語った。
最後まで戦うと言い出したのは私だ みんなを巻き込んですまない
覚悟の上でこの場にいる―,そこにいる誰もがそう答えた。今さら退くことはできない。ライトニングたちは次元の扉の破壊に向かう。

聖域では,イミテーションの大軍が押し寄せていた。敗北する戦いへと向かう前に,ウォーリアはコスモスにこう話した。
コスモス 私は今 あなたを敗北に導こうとしている
勝利を願い 戦いの終わりを望んだあなたに 私はもう 他に何もすることができない
何もできないのは私の方です
本当はあなたたちみんなを助けたかったのに―
あなたの力は世界を守るためのものだ
私たちを助けるためにその力を使っては何の意味もない
我々は調和の神を勝利に導くためにこの地に呼ばれた戦士なのだ
あなたの勝利はきっと未来で形となる だからどうか あなたも未来を信じて
皆と次の戦いへ向かってほしい―
未来のあなたとともに戦えないことを許してほしい
エピローグ『13回目の闘争へ』
世界を支えるべき存在であった調和の神
その力は常に世界へと注がれ
崩壊を望む混沌の神の力を抑えていた
だが この戦いで法則は破られた
調和の神は世界を守るはずの力を解放し
その力で戦士たちの身を守り 自ら敗北したのだ
その行為は混沌の神の力を暴走させ
結果 世界は形を失うこととなった
かろうじて繋ぎとめられた断片の世界
神竜の浄化によって やがて新たな戦いの幕があがる
消えていった戦士の記憶さえも失って
蘇る調和の神 そして 戦士たち
彼らは再び 勝利のために戦い始めることとなる